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もう増やしちゃだめだってば…
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nunez『ミッツ ヴァージニア・ウルフのマーモセット』の作者、シークリット・ヌーネスの第一作。同じ訳者の手で『ミッツ』と同時に邦訳が刊行された。

著者の名前はすこし変わっているかな、とは思ったが、日本語版だとカタカナ書きでもあり、それほど気にとめていなかった。だが、自伝的作品である本書を開くと、彼女のバックグラウンドに思い至る。

Siegrid Nunez---本来はファミリーネームの二つ目のnの上にチルダが付く。つまり、名前と苗字をそれぞれの現地音で発音するなら、ジーグリット・ヌニェス。

主人公「わたし」の父方の祖父は中国商人だった。上海とパナマを行き来して煙草と茶の貿易をなりわいとしていた。「わたし」の父はパナマで生まれ、幼少期を中国で過ごしたが、パナマの伯父に連れられて合衆国へ渡る。不法移民としてチャイナタウンで働くこと20年、父は徴兵された。英語のほとんど話せないチャン某は、このときにカルロスという「アメリカ人」となる。

父はヨーロッパ戦線で戦い、ドイツ降伏後は占領軍兵士として小さな町に駐屯する。そのとき母は18歳。妻と幼い娘を連れて父はアメリカに帰国した。そして「わたし」が生まれる。

公営住宅での暮らし。寡黙な父。母はいつでも「ヨーロッパ」の生活を懐かしむ。
母方の祖父はカトリックで、1933年に町役場の前で反ヒトラーのビラを配り逮捕された。アルプスの懐に建つ寄宿学校で過ごしていた母だったが、ある休暇の終わりに学校へ戻ってみると尼僧たちはおらず、かわりにナチの制服を着た男女がいた。やがて敗戦。母は歩いて故郷の町へ帰る。やがて戦争花嫁としてブルックリンへ。

17歳の「わたし」。教授の家に招かれ、夫人の皿洗いをしながらハミングする。夫人の目が厳しくなる。あとで教授が教えてくれた。きみの歌っていたのはHolst Wesselだよ。つまりナチス党歌。母が家事をしながらハミングしていた歌だった。

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荒削りな、しかし切実な読後感の残るこの第一作と、第三作『ミッツ』を読み終えて、私はアメリカのアマゾンに著者の第四作、第五作を注文した。
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